2010.10.02リフォーム妙技、難しさ、楽しさ

リフォーム妙技、難しさ、楽しさ


クライアントは以前、事務所ビルを設計させていただいたオーナーです。築30年のとっても古いマンションを、構造躯体だけ残して水廻りの位置から変更する大改修です。クライアント夫妻の子供達はもうとっくに独り立ちし、これからの余生を自分たちだけで悠々自適に過ごすためにリフォームを決めました。また、ご夫妻ともアメリカでの生活経験があり、思い切った提案にも快く理解していただき、とってもスタイリッシュな空間が出来上がりました。

まず、部屋の雰囲気を決定づけているのが、床のベージュ色大判タイルです。通常だとどうしてもフローリングになりがちですが、ご夫妻はワインをよく飲まれると聞いていたので、ワイングラスを傾けるにふさわしい部屋づくりに提案させていただきました。一見大理石のようにも見えますが、500角の大きなタイルで、そんなにコストも高くないです。しかもこのタイルは某大手コンビニチェーンの床材として標準仕様となっているとも聞きました。でも建築デザインの妙技というか、同じ素材を使っても決して安っぽく見えない演出というのはデザインする上での難しさでもあり、楽しさでもあります。

内壁は写真では判りづらいですが、コテを使った塗り壁です。床材はタイルが「凜」とした硬さを表現し、一方で内壁は人間の手によるコテ模様が屋全体を「柔らかく」包んでいます。最近、塗り壁はとても人気がありますが、普通のビニールクロスに比べるとコストがかかります。しかし、その表情の豊かさと味わいはやはり格別です。

キッチンはCUCINA(クチーナ)というメーカーのシステムです。これは決して安い物ではありませんが、豊富な面材、色々なデザインを用意しているので、部屋と使う人の好みにいかようにも合わせることが出来ます。コの字型のオープンなキッチンレイアウトが効率良く調理を可能にし、大きなカウンターに自然と人が集まりそうです。バックセット吊り戸棚の間を埋めるモザイクタイルは微妙な色合いと、淡い輝きを持つガラスモザイクタイルです。写真では判りづらいのがちょっと残念です。。

あと技術的な点において、今回の改修でのポイントは間取りの変更と既存躯体、既存配管との取り合いです。浴室や洗面所など水廻りの位置から大きく変更しているので、既存配管との納り、既存の構造体(躯体)の中にいかに納めるか?非常に苦労しました。柱や梁は決して移動できませんが、当然新しい間取りには相応しくないところに出てきます。しかし、それをいかに建築的に隠すか?もしくは意味を持たせて表すか?難しいところです。なんでこんな所に柱や梁があるの?とは思わせないように納めるのは大変でした(笑) 「梁がココにあるのは改修だからしょうがない・・」とは絶対言いたくないと思いながら設計しました。(汗)

次回はその水廻りを紹介します、お楽しみに!

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